makicoo thinks

世の中に対して思うことはここに。

ダッカのテロ事件で勘違いしてはいけないことのマキ。

ちょうど日本から帰ってくる飛行機の中でダッカの事件を知る。

バングラテロ、日本人7人が死亡…男性1人救出 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

他人事だと思えないのは、私が割とよく海外に行っているのと、旅先で現地の人が行かないような外国人向けのカフェやレストランを利用するからだ。外国人向けの店の方がセキュリティもしっかりしているし、外国人であることが目立たないので、現地の人が行くような店にいるよりも安全だと思っていた。「外国人」であることが憎悪の対象である今回の事件では、どこにいようと関係がなく、むしろ「外国人が集う店」というのがリスクという事実に背筋が震える。気をつけなきゃいけない、と思う。一方でこういう死に方をすることもあるんだなという事実から目を背けてはいけないと思った。

 

報道を追ってみているけれど「安倍首相がISのテロ対策支援したから狙われた」と言っている人が少なくないことに腹立たしさを覚える。そもそも今回の事件でISが声明を出したのは「便乗」で、実際にはISとは関係のない組織の犯行だという見方もある。

飲食店襲撃犯は国内組織のメンバー、ISとは無関係 バングラ内相 (AFP=時事) - Yahoo!ニュース

 

第一ISの犯行だったとしても、今、アラブ各国はISのせいでぐちゃぐちゃだ。それを野放しにするということは、たとえ北朝鮮や中国が日本に攻めてきたとしても、各国からほっとかれることを甘んじるということだ。国際社会のルールを無視する勢力に対して毅然とした態度を示すことが大事なのは、いざ自分の国にそのような事態が起きた際の周囲各国の協力の基盤になるからだ。更にこのような議論が巻き起こる限り、再び日本人は狙われる。「テロされるくらいなら、ISの行為を黙認した方がよい」と思う人が増えることが、彼らがテロをする狙いだからだ。

 

それにしても何故こんなにISをはじめとしたイスラム過激派が悲惨な事件を繰り返すのか、という所だけれども、人々の「格差」への不満が、宗教を口実に暴力へと向かっているというのが大きい。そして今まではアメリカがイラクに介入し、武力で制圧していたのがイラク撤退を契機に一気にパワーバランスが崩れ、またインターネットの発展と共に同じ不満を持つ人たちと繋がるのが容易になった。

多くのベルギーの若者が「戦闘員」になる理由 | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

もともと「社会への不平等だという憤り」は暴力に向かいやすく、そして宗教というのは代々その口実になってきた。イスラム教過激派が目立つのは、現在貧しい国は圧倒的にイスラムの国が多いから。古くはIRAといったカトリックの過激派がテロを繰り広げていたし、インド周辺にもヒンズー教の過激派がいて、ミャンマーにも仏教徒のテロ集団がいる。根底にあるのは「格差」以外の何者でもなく、「豊かな世界」への不満のはけ口が、過激な思想に結びついてしまい、今があるのだと思う。

 

この事件を受けて、私が勘違いしてはいけないと思うことは以下の3つ。

 

・「テロ対策に費用を払ったから日本人が狙われた」訳ではなく、「非イスラムで豊かである」ことが狙われた理由。そしてこういう議論が巻き起こること自体が、また新しいテロを呼び起こす。

 

・「イスラム教」は口実になっているだけで、イスラム教が悪いわけじゃない。コーランの過激な主義主張がと言う人がいるけれど、ユダヤ教キリスト教も似たようなことが聖典に書いてある。

 

・根本にあるのは「格差」で、ここを是正しない限り、根本的な解決は難しい。そして日本人というのは程度の差こそあれ、憤っている人々の憎悪の対象である「豊かな国」であるということ。

 

じゃあ私に今何ができるかというと、以前書いたブログの時から残念ながら進歩はないのだけれど。

イスラム国について考えるのマキ - makicoo thinks

 

せめて、きちんと何が起きているかを把握し続けて、そしてささやかながら、こうやって時折自分の意見をまとめていくことは続けていきたいなと思うのだった。