makicoo thinks

世の中に対して思うことはここに。

外国語で会話する上で大切なことのマキ。

アメリカに1年、イギリスに1年住んでいたこともあり、おかげで英語を使って仕事ができるようになった。が、語学力が飛躍的に向上したのはフランスに語学留学した2週間で、そこでとある人に衝撃を受けたのが大きい。今日はその話を書こうと思う。

 

大学でフランス語を当初専攻していた私は入学当初からバイトや夜遊びに明け暮れ、勉強はおろそか。成績は散々だった。このままだと留年の危険性もあるということで、祖父が死んだ際の遺産のおこぼれをつぎこんで、フランスに語学留学することになった。行き先はボルドー。確かにワインは水より安かった。

 

その2週間何をしていたかというと、勉強はそこそこ、結局夜遊び。。w毎日午前3時くらいまでは飲んでいたんじゃないだろうか。そこで知り合ったイギリス人、ドイツ人、スペイン人と休日も含めて共に過ごすことが多く、共通言語は英語。で、朝から晩までフランス語少々英語どっぷりの毎日となった。

 

イギリス人以外のメンバーの英語レベルは皆どっこいどっこいで、話すといってもそんな難しい話をすることはなかった。たとえば将来の夢であったり、フランス語を使ってどうしていきたいかなど込み入った話をするには各々の語学力には不足があって、何度も皆トライしたものの、そんなに会話は盛り上がらず、結局「映画みにいこうか」や「ここのレストランが美味しいらしい」など当たり障りのない話をすることが多かった。

 

で、そんな私達の集団に、ある日ファニータというスペイン女子が加わった。ロングの黒髪に茶色い瞳の、目力がとにかく強いスペイン女子。つるんでいたスペイン組が明らかに気を遣っているのが分かり、なんか強そうな人だなというのが第一印象。そして彼女は本当に強かった。

 

英語力はそんなに高くない彼女だったが、会話にはぐいぐい入ってきて、少しでも分からない・納得がいかないと「私はよく分からない。もう1回言って」のオンパレード。何だこいつというのがなかった訳でもなかったけど、一同皆彼女の強さに恐縮した。極めつけはイギリス人男子に向かってある日放ったセリフ。「私はあなたの英語がよく分からない。もう少し分かりやすく説明するように心がけてみて」。

 

イギリス人男子もそりゃびっくり。母国語を喋っているのに「お前の英語はよくわからん」といわれる衝撃ったらない。ただ、気迫におされたのか、彼は非常にゆっくりしゃべるようになり、その恩恵で確かに私も彼の言っていることが幾分以前より分かるようになった。

 

彼女から学んだことはとても大きくて、それは外国語でコミュニケーションを円滑にとるために必要なのは、何も自分の語学力を向上させるだけではないということだ。それまでの私は相手の言っていることが分からないのは、それは自分の語学力が足りてないからだと思っていた。が、彼女を見ているとそれは「相手の言っていることが分からない=通じるように相手がしゃべってない」でもあり、人と人がコミュニケーションをとろうとしている以上、確かにそういう見方もあるんだなということに気づかされた。

 

彼女はそれ以来私がつるんでたグループのボス的存在になり、私達ファニータの興味のあることに付き合うことがとても増えた。英語が共通言語の集団で英語が一番得意ではないスペイン人が場を仕切っている状況というのはやや不思議で、ただ彼女自身は押しの強さはあれどとても魅力的な人だったので、結果楽しく2週間を終えた。あの時私が手に入れたのは、少々のフランス語スキルと、まあまあの英語スキルと、そして「お前の言っていることが分からん」と言える心臓の強さ。そしてこの「心臓の強さ」が外国語でコミュニケーションをとる時に大切なことなんだとそれ以来思っている。